2009年08月19日
風船飛行への道
右田 翼は、いつか大空を飛んでみたいと思っているボクサーです。
リング名は、「ライト右田」。
パンチ力はありません。
防御もうまくありません。
ただ、そんな右田にも、得意なものがひとつだけありました。
それは、
減量
~~~~~
試合前には、いつも、1gの狂いもなく、ぴったりと合わせてきます。
ジムの会長はいつも、
「お前は、減量だったら、誰にもまけねぇ。自信を持てライト」
と言っています。
あるとき、右田は、
「風船でそらを飛ぼう!」
と思い立ち、ファイトマネーを蓄えた貯金を使い、
大量の風船、ネット、ヘリウムガスを買いました。
早速、ヘリウムガスをたくさんの風船に封入し、
それをネットでまとめ、風船気球を作りました。
そして、田舎の幼い弟が、いつかチャンピオンになるようにと
作ってくれた手作りのチャンピオンベルトを風船気球に
結び付けました。
チャンピオンベルトを締め、
いざ、テスト飛行開始です。
おもり代わりに使っていたサンドバックをはずし、
いざ飛ぼうとするのですが、体は浮き上がりません。
貯金を使い果たした右田にとって、
できることは1つだけ、
それは、減量。
それなら誰にも負けません。
その日から、浮き上がるための、過酷な減量が始まりました。
早朝からロードワーク。
縄跳びで汗をかき、
ボクシングジムでサンドバックを叩く。
「浮くぞ! 浮くぞ! 浮くぞ!!!!」
そして、
目標としていた12月31日の大晦日がやってきました。
右田は、この日に向けて、
厳しい減量に耐えてきました。
革のベルトを肩につけ、
右田は、自分に言い聞かせます。
「今日こそ、大丈夫!」
「絶対、浮ける!」
「俺は誰だ?」
「ライト右田だ!」
「減量なら誰にも負けねぇ!」
右田は、今日、受けなかったら、ボクサーを引退する決意です。
いよいよ、その瞬間はやってきました。
おもり代わりに使っていたサンドバックをはずしました。
浮きません。
右田は、がっくりと肩を落としました。
「やるだけやった!」
「燃え尽きたよ!」
右田は、引退を決意し、チャンピオンベルトをはずしました。
そして、
「本物のチャンピオンベルトは、結局巻けなかったなぁ。」
とつぶやきながら、ベルトをそっと地面に置きました。
ベルトは、地面から浮き上がることなく、
そこに止まっていました。
右田は、それを見てつぶやきました。
「手ごわいわけだぜ!」
★たとえ話終了★
熱気球はなぜ浮くのか?
熱気球には、気球が押しのけた空気にはたらく重力と同じ大きさの浮力が
働きます。
ですから、浮力は、気球の大きさで決まっています。
熱気球では、バーナーで内部の気体を加熱しますが、
あれは、浮力を増しているのではなく、
内部の気体を熱膨張させて密度を小さくしているのです。
つまり、内部の気体を減らして、
気球に働く重力を小さくしているのです。
でも、もしゴンドラに働く重力のほうが、気球に働く浮力よりも
そもそも大きかったらどうなるでしょうか?
いくら気体を熱して、重さを減らしても、
そもそもゴンドラの重力のほうが大きいのですから、
浮き上がりません。
これは、チャンピオンベルトにはたらく重力のほうが、
風船気球にはたらく浮力よりも大きければ、
いくら右田が減量しても浮くことができないのと同じです。
熱気球が浮くための必要条件、分かっていただけましたか?
物理 参考書


